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第二回戦SS・駅その3 『デイドリーム愽士の全人類幼女化計劃』 明治四拾年五月參拾壱日。大阪梅田ステイション。 瓦斯燈に照らされた儼しいゴチック様驛舎を睥睨する運行監視塔に怪しげな老人が獨りゐる。彼は、迷宮時計を核とした奇怪なる裝置の起動釦を投入した。忽ち櫻色の光が構内を包み込み――凡ての者が幼女と成った。居合わせた時計所有者達も。 「エフォート! チャンプ! 出て來ーい!」兩手の鉈を振りかざし、シシキリちゃんが大聲を上げる。水色スモックの六歳幼女なれど亂れ髪が恐ろしい。キャアと叫びてんでにプラットホウムを逃げ惑う數多の幼女達。「やっつけてやるー!」シシキリちゃんが前齒の無い口で牙を剥く。 「コラッ!」軆操服を着た、大きな身軆の七歳幼女が現れてシシキリちゃんをどやしつける。其の金髪はバンダナで纏められてゐる。此の子がチャンプちゃん也。「そんな危なひ物を振り囘したら駄目ぢゃない!」「ひゃうっ!」怒られたシシキリちゃんは涙目になって尻餅をつき、鉈を鞄に仕舞う。 そこに「見つけた! 纏めてドォン!」向かいのホウムから、エフォートちゃんが眩い光彈を投げ附けてきた。「キャア!」「痛いっ!」チャンプちゃんとシシキリちゃんが遠距離攻撃を受けて呻き聲を上げる。「エェン! ウエェン!」突然の出來事に、泣き出す一般幼女もゐる。 「コラッ!」鐵道越しに、再びチャンプちゃんの叱り聲。「ひゃん!」異國のお姫様の如き舶來ドレスを纏った長い青髪の五歳幼女エフォートちゃんが、怒聲に吃驚して尻餅をつく。「二人とも、先づは話し合いをしませう」チャンプちゃんが提案し、三人はホウムの長椅子に並んで腰掛けてお話しをする事になった。眞ん中にチャンプちゃん、右にシシキリちゃん、左にエフォートちゃん。 「貴方達の願ひ事は何?」チャンプちゃんが訊く。「私はね、遠くに行っちゃった友達の盛華ちゃんに、幸せになって慾しいの」シシキリちゃんは小さな聲で答へた。「あ、私も同じ! 友達と亦會いたいの!」とエフォートちゃん。 そしてエフォートちゃんは、三人の友達との悲しひ別れについて滔々と述べた。すると唐突にシシキリちゃんが泣き出して、謂った。「違う! エフォートちゃんは慾張りだ! だって、ちゃんとお別れ會をしたんぢゃない! ビクトリーちゃんは手を繋いでくれたぢゃない! 狡いよ! 盛華ちゃんは何も謂えなかったんだから! 手だって繋げなかったんだから!」 エフォートちゃんも謂ひ返す。「私はみんなに置いてかれたんだよ! 一緒に往きたかったのに! いきなり獨りぼっちになっちゃったんだよ!」エフォートちゃんの眼からも涙がぼろぼろと溢れる。「必づみんなと會ふんだから!」エフォートちゃんが立ち上がり、魔法格闘の構へ。「私だって絶對に敗けられない!」シシキリちゃんも泣きながら、二本の赤い鉈を抜く。二人が軆驗した出來事は、幼い少女の身には重過ぎて、全身が張り裂けそうに成ってゐるのだ。 「ようし。大軆わかったよ」チャンプちゃんが立ち上がり、右腕でシシキリちゃんを、左腕でエフォートちゃんをぎゅうと抱き締めた。「二人の願い事、吾輩が預るね!」「えっどういうこと?」シシキリちゃんが問い返す。「自分のこと『ワガハイ』って謂うんだ」エフォートちゃんは變な處で引っ掛かった。「吾輩の願いは迷宮時計の戰いを平和に終はらせる事なの」 チャンプちゃんは、時計を総て集めて參加者みんなの願いを全部叶える計劃を話した。然う謂えば動畫サイトでチャンプちゃんが其のやうな事を謂ってゐた氣がすると、二人も思ひ出した。「さう謂ふ譯だから、吾輩に時計を渡してくれるかな?」「うー……」「でも……」エフォートちゃんとシシキリちゃんは中々時計を差し出そうとしない。 「あのさ、私が勝ったらみんなの願い事を叶えるからさ、チャンプちゃんが時計を渡してよ!」エフォートちゃんが謂った。「あっ狡いっ! 私だって叶える叶える!」シシキリちゃんも謂った。「いやいや吾輩に任せてってば!」話し合いは左右の線路のやうに、何時まで経っても平行線で纏まらない。 「間もなく列車が參りまぁす。御注意くださぁい」驛員幼女が擴聲機で呼び掛けた。「あっ! 蒸氣機關車!」「うわわーっ! 本物っ! 本物だっ!」「私、動いてる蒸氣機關車って見るの初めて!」三人は話し合ひをひと先づ中斷して、仲佳く汽車が來るのを見守った。驛員幼女はてこてこと歩き囘り、ホウムの安全を慥認してゐる。幼女化しても人々は其れ迄と變わらぬ役割を果たしており、大きな混亂は起きていない。此の時點では。 ボオオオオ。黒い煙を吐きながら、黒塗りの蒸氣機關車が客車を牽いてやって來た。汽車製造會社製の國鉄230形蒸氣機關車だ。三人は大憙び。「うわぁ! 格好佳い!」「凄い! 凄い!」「ね、ね、トーマスに似てるよね、ね!」其れも其の筈、230形は英國の機關車を參考に設計されたタンク機關車なのだ。だから車軆構造が機關車トーマスに似てるのも當然と謂へやう。 だが、樂しい時は其處までだった。驛手前の切り替えポイントで、機關車がぐらりと傾いた。そして、其の侭横倒しに成りぎゃりぎゃりと耳障りな音を立てながら砂利を撒き散らし、止まる。「大變だ!」エフォートちゃんが叫ぶ。ホウムで汽車を待ってゐた多くの幼女達は突然の脱線事故に驚きわあわあと泣き出した。運轉手幼女が減速を誤った爲の慘事である。 「早く! 汽車の中の人を救けなきゃ!」逸早くチャンプちゃんが機關車に飛び込み氣を失ってゐる運轉手幼女を救い出す。「分かった!」エフォートちゃんが客車の扉をめりめりと剥がす。「私もっ!」シシキリちゃんの鉈が唸りを上げ、横倒しの客車輛に脱出口を穿ってゆく。中から乘客幼女達が泣き喚きながらぞろぞろと出て來る。 動ける子は未だ良い。問題は大怪我をして動けない子達だ。骨を折った子。頭から血を流している子。客車の中は宛ら幼女地獄繪圖であった。チャンプちゃんと、エフォートちゃんと、シシキリちゃんは、痛みに苦しみ泣き呻く子達を励ましながら、一人一人救け出していった。 此れ程の大事故であったが、幸ひな事に死者は出てゐないやうだ。車内の怪我人を總て助け出して一安心する三人。しかし、地獄は終わってゐなかった。ドオオオン! 倒れてゐた機關車のタンクが水蒸氣爆發を起こし、燃え盛る石炭が飛び散る。そして、驛舎が燃え上がった。 「キャアアア!」幼女達がホウムを逃げ惑う。「此方だよ! 泳げる子は港に飛び込んで! さうでない子は線路傳ひに廣場へ!」チャンプちゃんが冷靜にみんなを誘導する。動けない子をシシキリちゃんとエフォートちゃんが何遍も往復して運ぶ。激しい焔と熱と煙。大阪驛が、壊れてゆく。 「逃げ遅れた子はもうゐないかな?」シシキリちゃんが謂った。「待ってて。“キュア・サークル”」エフォートちゃんが魔力を薄く廣く伸ばして探索する。「あっ! あっちの塔の上! 動いてない……直ぐ救けに往かなきゃ!」最後の要救助幼女。だが、監視塔は焔に包まれてをり近附く事すら難しかった。 「ぢゃあ、エフォートちゃんに飛んで貰いませう」チャンプちゃんが譯の解らないことを謂ったのでエフォートちゃんは大焦り。「ちょ、私飛べないから! 魔法少女には飛べる子もゐるけど私は無理!」「うん。だから吾輩とシシキリちゃんの力で、身輕なエフォートちゃんを投げ飛ばすの!」燃える焔を飛び越え、監視塔の外壁に取り附き攀ぢ登る。なんと恐ろしひ作戰! そんな恐い眞似は無理だ、とエフォートちゃんは思った。 「無理なら、已めても佳いんだよ。一か八か、私が火の中を突っ切るから!」不安さうなエフォートちゃんを見て、シシキリちゃんが謂ふ。突っ切るだなんて! そんなのどう考へても不可能なのに! エフォートちゃんは焔に包まれた監視塔を見て、シシキリちゃんの顔を見て、チャンプちゃんの顔を見た。そして、ビクトリーちゃんと、フレンドシップちゃんと、テンカウントちゃんの顔を思ひ浮かべた。彼の日、私は置いていかれた。でも今は、私が往くべき時だ。ならば……飛ぶしかない! ベルトを締め直し、シュシュを整へ、懐の銃を慥める。覺悟完了。「私、往く! チャンプちゃん、シシキリちゃん、御願い!」 エフォートちゃんの右脚をチャンプちゃんが、左脚をシシキリちゃんが持つ。エフォートちゃんは脚にありったけの魔力を込める。「いっ」「せーの!」「せえええーっ!」三人の力を合はせ、エフォートちゃんが焔を越えて大きく跳躍する! そして監視塔の壁に飛び附き僅かな出っ張りに指を掛ける! 此處までは成功! (熱い……!)エフォートちゃんの下から迫る焔が、容赦なく幼い軆を炙る。(でも負けない!)エフォートちゃんは監視塔の壁を登ってゆく。「まほ! かつ! まほ! かつ!」勇氣の呪文を唱えながら。チャンプちゃんとシシキリちゃんは、そして驛から逃れた幼女達は、固唾を飲んでエフォートちゃんの事を見守る。 「えいっ!」塔の最上部に辿り着き、硝子窓を割って中に入るエフォートちゃん。「大丈夫!?」倒れていたのは軆の細い、櫻色の髪の幼女だった。其の傍らには捻くれた金属で“時計”を圍った奇妙な裝置。「う……うう……貴女は誰……?」櫻色の少女は呻くやうに謂った。「佳かった、間に合った! 私はキュア・エフォート! 飛び降りるから慥り掴まってて!」 窓枠を蹴って、櫻色の少女を背負ったエフォートちゃんが跳んだ。四階建て監視塔最上部からの跳躍! だが距離が足りない! 焔の中に墜ちる! しかし、下にはチャンプちゃんとシシキリちゃんがゐる! 水をたっぷり含ませた毛布を持って二人は焔の中に踏み込み、降ってくるエフォートちゃん達を受け止めた! そして、急いで焔の中から脱出し、火の囘って來ない廣場まで移動した。 其処には燃え盛る焔から逃れて來た乘客幼女や驛員幼女達が集まってゐた。そして、誰とは無しに自分達を救けた英雄を讚へ始めた。「ウィー! アー! チャンプ!」「まほ! かつ! まほ! かつ!」「ウィー! アー! チャンプ!」「まほ! かつ! まほ! かつ!」驛舎を焼き尽くす焔よりも熱い歓聲が沸き上がる。 「待って! 此の子……顔色がおかしい!」異變に氣附いたのはシシキリちゃんだった。監視塔から救出した少女の顔から血の氣が引き、唇が青黒く變わってゐる。……一酸化炭素中毒だ。エフォートちゃんの努力も虚しく、既に手遅れだったのだ。靜まりかへる観衆幼女達。 櫻色の髪の少女は弱々しく謂った。「私は……もう駄目。御免ね。私が間違ってた……汚ない大人を全員幼女にすれば、平和な世界に成ると思ってたの……」“彼女”が得た新しい身軆は余りにも華奢で脆かった。「でも幼女だけぢゃ汽車もまともに動かせない……世界には大人が必要だって、やっと解った……」 「救けてくれて有難う……貴女達は生きて……そして、其の優しい氣持ちを……大人に成ってもずっと……忘れ……ないで……」「うん……」「解った……」「絶對に忘れないよ……」チャンプちゃん達が涙ながらにさう答へたのを聞くと、櫻色の少女は紫色の唇にうっすらと笑みを浮かべ乍ら息を引き取った。 死亡によってデイドリーム愽士の能力『全人類幼女化計劃』が解除され、愽士の亡骸は老人の姿に戻った。そして、ミスター・チャンプと、練鐵の元・魔法少女キュア・エフォートと、シシキリも本來の姿と精神性を取り戻した。 其処からは一瞬の出來事だった。 チャンプの右手が鹿島神流・地獄突きによってシシキリの胸を貫き心臓を破壊した。シシキリは鉈を振り上げ乍らチャンプの右腕を斬り落とし、鉈を振り下ろしてチャンプの頭蓋を割った。そして、シシキリは再び鉈を振り上げ、後ろに一歩飛び退いたエフォートへと襲い掛かる。チャンプの巨軆が赤い血を噴き乍ら崩れ落ちる。 エフォートは魔力を込めた兩腕を頭上で交差し、振り下ろされて來る鉈を防禦する。エフォートの魔力は、努力を裏切らない。愛すべき友を喪ってから三年間、エフォートは一日たりとも欠かさず魔法鍛錬活動を重ねて來た。如何なる膂力の魔人を以てしても、其の防禦を鉈ひとつで伐ち破ることは不可能である。 努力――そう。其れは間違いなく努力ではあった。青空羽美が乳呑み児であった頃より、シシキリは殺し續けてゐた。愛する盛華を殺めた怨敵を、毎日毎日殺し續けてゐた。十六年。毎日欠かさず。何度も何度も何度も殺した。何萬囘も殺した。 其れは、良識に拠って判斷するならば無爲な努力であらう。だが、エフォートの魔力は努力を裏切らない。血と汚物にまみれた昏い努力が實を結ぶ。シシキリの鉈がエフォートの兩手首を斬り落とし、頭蓋の左三分の一を斬り落とし、左肩から入って股へと抜けた。縦二つに兩斷されたエフォートは腦と臓物を溢し絶命する。シシキリは倒れ乍らも水平に鉈を振るって兩脚を切斷し、エフォートを青い達磨に變へた。 「そんな! そんな馬鹿な! 立ってくれチャーーーンプ!」觀衆の一人が絶叫した。其の聲が、チャンプに届いた! 頭蓋を割られてなほ、英雄は立ち上がった! 命に代へても打ち倒すべき邪惡が其処にゐる。誇り有る戰ひを魅せるべき、時空を越へて應援に驅け附けてくれたファンがゐる。寝てゐる理由は何処にも無い! 胸を穿たれて倒れたシシキリに馬乘りになり、殘された左腕で毆る! 毆る! 毆る! 毆る! シシキリの上軆が熟れた柿のやうにぐづぐづと潰れてゆく! シシキリは殘り僅かな死力を振り絞り最期の抵抗! 鉈を振り上げてチャンプの左腕を斬り落とす! だが兩腕を喪った程度で英雄が止まるか? 否!! 斷ぢて否!! チャンプ渾身のヘッドバッドが、心停止により蟲の息のシシキリへ豪然と叩き附けられる! 蒸氣機關車の直撃よりも遙かに遙かに遙かに重い一撃!! 激突!!! 大地を搖るがす轟音!!! ……其れが、致命傷と成った。シシキリの鉈で割られたチャンプの頭蓋は、自らの技に耐へ切れなかったのだ。頭蓋骨が碎け、チャンプの腦牆が飛び散る。 皮肉な話だが、若しチャンプが聲援に應へず横たわった侭であったなら、心臓を破壊されたシシキリの生命活動が先に停止してゐた事だらう。だが、最期まで勇猛に戰った誇り高き戰士の事を、私は讚へたいと思ふ。 此れが、彼の有名な『梅田驛幼女大炎上事件』の裏側にあった、語られざる眞實である。ミスター・チャンプ、キュア・エフォート、そしてシシキリの尽力により、此れ程の大事故であったにも拘わらず死者は五指に滿たなかった。 JR大阪驛の西側に、幼女を守って命を落とした勇敢なる者を記念する石碑が建ってゐる。諸兄も若し大阪驛に往く機會が有ったなら、少し足を伸ばして碑を訪れ、鐵道の安全と幼女の幸福について是非考へて呉れ給へ。 http //www.geocities.jp/yosh_3jp/oldosaka2/shimizu.html このページのトップに戻る|トップページに戻る
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SS置き場 せっかくwikiを取得したので今まで書いた文章でもまとめておこう、と思って作成。
https://w.atwiki.jp/fo3ss/pages/38.html
Fallout 3 SS晒しスレッド Fallout 3 SS/MOD晒しスレッド 2 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 3 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 4 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 5 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 6 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 7 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 8 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 9 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 10 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 11 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 12 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 13 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 14 Fallout 3 エロ・嫁SS/MOD晒しスレッド 15 までの過去ログを圧縮してロダに上げております。 http //loda.jp/fallout3uploader2/?id=232
https://w.atwiki.jp/tanosiiorika/pages/294.html
コバルト・ウィズダム SR 水 3 クリーチャー:サイバーロード 1000 ■相手の手札にカードが加えられた時,相手の手札を見る。その中からそのとき手札に加えられたカードと同じ枚数のカードを選び,好きな順番で持ち主の山札の1番下に置く。 アカシック・レコードの主とされるサファイア・ウィズダムの末裔である水の天才科学者コバルト・ウィズダム,そんな彼女の口癖は・・・・「ワタシより物知りなんて,ナマイキ!!」 作者:かみど 相手の手札にカードが加えられる度にビーピングハンデス,全てのドローに反応するためウザったいこの上ない,早めに除去してしまおう。 子:電磁精霊アカシック・ワンダー 名前 コメント
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【ダンガンロンパ】霧切響子はクーデレかわいい【FILE.14】 ※SSにはスーパーダンガンロンパ2のネタバレが含まれている場合があります。 閲覧の際は自己責任の下でよろしくお願いします。 備考欄に「※2ネタバレ」が記載されているものはネタバレが入っています。 レス ID タイトル 備考 23-28 3NQib+2M 未来機関社内報 第十四支部局員インタビュー編 インタビュー※2ネタバレ 117-121 qPGz0KMR 【ナエギリ花鳥風月】 162-165 yG4olaas 民法第752条 同居、協力及び扶助の義務が生じるまでの発端 婚約※2ネタバレ微エロ注意 357-360 HWcHgoyH Shall never surrender 日向と※2ネタバレ 441-445 lQibiP/u いまから ここから 引っ越し→同棲※2ネタバレ357-360の続き 619-621 /S+XGJ0M キリキス vol.1 微エロ注意脚にチュッチュ 756-758 sKj4Rif6 キリキス vol.2 微エロ注意お顔にチュッチュ 799-802 Co9XBIUr ナエギリ問柳尋花 番外編 ※エロパロ板まとめ キリキス vol.3 リンク先18禁注意らーぶらーぶ編 897-898 ylH6ipb4 キリキス vol.4 微エロ注意起き抜けにチュッチュ
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裏第一回戦SS・桜並木その1 花といえば貴方はなにを思い浮かべますか? 菊、百合、そして桜。 迷宮時計を巡る戦い。今回の舞台は桜並木。 桜は音楽と関係が深い植物。 桜ソングと呼ばれる桜を題材にした作品は枚挙に暇がないでしょう。 ある吹奏楽を題材にした作品でも音を桜の匂いに例えていましたね。 神の如き天才音楽家にして楽器職人廃糖蜜ラトン。 兵器として生まれた眼鏡少女リュネット・アンジュドロー。 今回のふたりは二人はどんなシンフォニーを奏でるのでしょう。 歌は物語を紡いでいく。 ◆◆◆◆◆◆ 見わたす限りに桜が並んだ美しい並木道。 風に吹かれて花弁が舞い散る。周囲には桜を見に来たと思わしき人の群れ 道端には80mはあろうかという巨大なカリヨン。 それが見える道の中に廃糖蜜ラトンは立っていた。 背中にはマスケット銃。 楽器職人の彼がマスケット銃を持っていることに疑問を持つかもしれない。 だが、これは音楽に詳しい人間が見れば不思議なことではない。 偉大なるドイツの音楽家「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの楽曲に『ウェリントンの勝利』というものがある。 イギリス軍がフランス軍に勝利したことを受けて、ウェリントン侯を讃える曲としてベートーヴェンが作曲したこの曲は編成としてマスケット銃が指定されている。 つまりこれは楽器なのだ。当然ラトンはこれも誰も上回れるものがいないぐらいうまく射撃(えんそう)できる。 「さて、どうしたものか」 敵との邂逅までの間に十分な時間はあった。 カノンの演奏準備はすでに出来ている。 おそらくあれが演奏されれば対戦者は跡形もなく消滅するだろう。 だが、ラトンは対戦相手を出来うる限り殺したくないと考えていた。 これは別にラトンが慈悲に溢れた人間であるから―――という訳ではない。 彼が迷宮時計を欲したそもそもの目的は平行世界に存在するかもしれない自分より優れた演奏者を見つけること。 そのためにはこの世界にとどまり続けなければならない。 故に、できれば「アリデキリギリス』で捕らえてしまいたい。 ラトンがそう考えていたその時であった! 後ろから迫り来る細長い影。 うねうねと動く謎の影にラトンは指揮棒を取り出すと、それを振りかざし切断する。 切断された先端は水になる。 さらに新手が来る。 無数の水でできた蔦。 それは周囲の誰にも目もくれずに一直線にラトンに向かってきた。 切断、切断、切断、切断、切断。 それはまるで壮大なオーケストラを指揮しているかのような華麗な動き。 舞散る桜吹雪の中、迫り来る水の蔦達を次々と切り刻んでいく。 これも世界レベルの指揮者であれば造作もないことだ。 あらゆる楽器を演奏できる彼にはたやすい。 (どうやらこちらの顔はバレているようだな) 別に不思議なことではない。著名な演奏家であり楽器職人である彼の顔なぞ音楽にまつわる書籍を漁ればいくらでも探すことができる。 天才的な音楽家であると同時に音楽に情熱を傾けすぎたが故の狂気の人物として、 少なくとも音楽に関わる人間で廃糖蜜ラトンを知らないものはモグリといっても良いだろう。 対戦者であるリュネット・アンジュドローが何者か。それはラトンにはわからない。 そうして自分のことを調べたのだろうということは容易に推測がつく。 ◆◆◆◆◆◆ 「どうして当たらないの!?」 奇襲が思い通りにいかずリュネットはいらだちを募らせていた。 水の植物によって拘束しようとしていたが全く叶わない。 それどころか切断される。 実戦経験が少ないということもあり、敵(ラトン)の戦力を甘く見積りすぎていたというほかはない。 ちなみに廃糖蜜ラトンの名と顔をリュネットは以前から知っていた。 音楽と直接的な縁もゆかりもないも彼女がなぜ? 貴方はそう疑問を持ったかもしれない。 その疑問に答えるには彼女の保護者というべき存在であるシスターセシルのことを説明する必要があるだろう。 もともと彼女はピアニストを志していた時代がある。 彼女の名セシルとはキリスト教の聖人『聖セシリア』に由来する洗礼名である。 聖セシリアはカトリックにおいて音楽家の守護聖人とされている。 元々は音楽家を目指していた彼女がシスターになったとき彼女に肖ろうと考えた結果選んだ名前がセシルであった。 そしてそんな彼女がリュネットに優れた演奏者であると言っていたのが廃糖蜜ラトンなのだ。 「セシルの言ってたとおりあの人はすごいの」 ラトンの動きは音楽には門外漢のリュネットが見ても美しい。 どこにも楽器もないのに音楽が聞こえてくるようだ。 これは何も不思議なことではない。 ジョン・ケージの『4分33秒』という曲がある。 全楽章にわたって休止を表す記号が支持されているこの曲は、演奏者は楽器とともに登場するがそれが全く演奏されることはない。 いわば「無音の」音楽である。 真に優れた音楽家には楽器を使用しなくても聴取者に音を聞かせ感動させることができるのだ。 「でも、見蕩れているわけにはいかないの」 セシルのために勝たなくてはいけない。 リュネットの背中に水の翼が現れる。 彼女の身体に組み込まれた海鳥の因子の力による飛行形態。 リュネットが翔んだ! ◆◆◆◆◆◆ 「あれがリュネット・アンジュドロー……」 ラトンは彼に向かってくる少女の姿を確認すると顔を曇らせた。 水の翼を生やしてこちらに向かってくる人間が他にいるとは思えない。 修道服を改造したような服を着た幼い少女。 おそらく彼女が迷宮時計が指定した対戦相手で間違いないだろう。 「あんなに幼い少女とはな」 参加者は若くとも高校生ぐらいだと思っていたがそうでもないらしい。 ラトンは狂人であるが外道でも悪人というわけでもない。 流石にあそこまで幼い少女を殺害することになれば目覚めが悪い。 リュネットがまっすぐラトンの方に突っ込んでくる。 ラトンはそれを回避する。 そしてラトンは少女に声をかけた。 「戦わないわけには行かないかね」 「じゃあ、おじさんが降参してくれるの?」 「いや」 そういうわけにはいかない。 彼女を、そして彼女の夫を生き返らせなければならない。 それが身勝手な狂人の願いだとしても。 それに向こうの世界に彼女の子供を残してきた。 彼を一人にするわけには行かない。 なるほど、彼女の家族が子供を見つけて引き取るという可能性もあるかもしれない。 だがラトンは彼女の家族に嫌いであったし、 そもそも彼女の家族が中学生だった彼女に行った仕打ちを思えば、渡したいなどと思わない。 彼女もそれを望んでいなかった。 だから帰らなくてはならない。元の世界へ。 目の前の少女を犠牲にしても。 「じゃあ、無理なの。私はセシルの願いを叶えるの」 リュネットがにべもなく拒否する。 何らかの願いを持っている。こうなるのも必然といったところか。 (仕方がないか) ラトンが指揮棒を掲げる。 それが合図となり、どこかから炸裂音とともに何かが打ち出され、リュネットの背後で大爆発が起こった! 「キャー!」 「な……何の音だ」 桜並木にいた人々が悲鳴をあげ、蜘蛛の子を散らすように逃走をはじめる。 おお、あれは大砲(カノン)ではないか! 大砲(カノン)による砲撃! 恐るべき大砲交響楽団(カノン・オーケストラ)がリュネットを狙っている! 音楽に詳しい読者諸兄なら偉大なるロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーが作曲した大序曲『1812年』はご存知であろう。 この曲はチャイコフスキーの代表曲の一つであり、楽譜上に本物の大砲が指定されていることが特徴である。 また『ウェリントンの勝利』にも大砲は使用されている。 大砲はクラシックにおいて一般的な楽器なのだ。 さらに上空に現れたのは4台のヘリコプター。これも当然ラトンの指揮下だ。 流石にヘリコプターは楽器ではないのでは?今これを読んだあなたはそう思ったかもしれない。 しかしながら、読者のみなさんはドイツの作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンを御存知だろうか。 彼の作曲した『ヘリコプター弦楽四重奏曲』はその名のとおり演奏に4台のヘリコプターを用いる。 そう、ヘリコプターもまた楽器の一つなのだ。 そして、古今東西の楽器を再現した物が置いてあるラトンの部屋には、当然このような一般的に知られていない楽器も置いてあるのだ。 そして彼らはラトンにより楽器を扱うのに十分な能力を身につけている。 この恐ろしさが賢明なあなたならわかるだろう。 「これでも戦闘をやめる気はないのかね」 「やなの」 取り付く島もないといったところだ。 「そうか」 最後の忠告はしたとばかりにラトンがため息を着くと首を振る。 (仕方あるまい) 目の前の少女は決して弱くはない。殺さぬようになど言っていてはこちらがやられてしまうだろう。 ラトンは合図をしながら大砲交響楽団(カノン・オーケストラ)の方に向かう。 「ヒャッハー!砲撃だー!」 「フヒヒヒヒ!俺の大砲であの少女を跡形もなく吹き飛ばしたい!」 大砲交響楽団(カノン・オーケストラ)の男たちが叫ぶ。今の彼らはラトンの能力に操られた演奏機械(キリングマシーン)だ 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避しようとした。 だが、移動先にヘリがいる。ヘリが邪魔だ。弾をよけきれない。 「きゃぅ」 リュネットの身体に大砲の弾が直撃する。 爆発! だが、リュネットはまだ死んでいない。 危ないところだった。彼女の遺伝子に組み込まれた甲殻類耐久力がなければ間違いなく死んでいた。 リュネットは先に大砲を破壊しようとする。 だが、再びヘリが邪魔をしてくる。 大砲が砲撃!砲弾が飛ぶ!避けられない! また、大砲の弾がリュネットに直撃する。 “音楽家”に属するものは楽器を破壊することはできない。 だから大砲による攻撃はヘリには無効化される。 つまり、大砲交響楽団(カノン・オーケストラ)はヘリを気にすることなく攻撃を続けることができるのだ。 大砲からのリュネットに対する砲撃が続く。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。砲弾がリュネットに当たる。 大砲から砲撃が放たれる。リュネットはそれを回避する。 大砲から砲撃が放たれる。砲弾がリュネットに当たる。 大砲から砲撃が放たれる。砲弾がリュネットに当たる。 大砲から砲撃が放たれる。砲弾がリュネットに当たる。 痛い。痛い。痛い。 ダメージが大きい。骨がいくつも折れている。 痛い。痛い。痛い。 全身が傷だらけだ。服も一部が焼け焦げている。 痛い。痛い。痛い。 血反吐を吐いた。口の中に鉄の匂いがする。 痛い。痛い。痛い。身体中が痛い。 意識が沈んでいく。深い深い闇の中へ。 ◆◆◆◆◆◆ マンションの一室。ピアノを弾くセシルが見える。 リュネットはソファに座りそれを聞いていた。 「ねえセシル」 「何?リュネット」 リュネットの問いかけにピアノの演奏を中断するセシル。 「ピアニストになれなくて後悔はしてないの?」 「どうかな。未練がないとまではいえないけど」 「けど?」 「でも私はシスターになってよかったと思ってるよ」 「どうして?」 「だってあなたと会えた。教会のみんなとも会えた。それだけで私は幸せなの」 そう言ったセシルの顔はとても嬉しそうで。 「だから、ずっとここにいてね。リュネット」 ◆◆◆◆◆◆ (……セシル) リュネットの大切な存在。懐かしい思い出。 走馬灯だろうか。いや、彼女はまだ死んではいない。 またセシルと買い物に行きたい。セシルと話がしたい。 セシルと一緒に遊びたい。セシルと一緒に過ごしたい。 だから、 「だから、私はこんなところで負けるわけには行かないの!」 その時、彼女の思いに答えるようにメガネが青く光り輝いた。 メガネ=カタとは体術と眼鏡を組み合わせて戦う全く新しい格闘術である。 その本質は眼鏡の力を引き出し戦うこと。 では、メガネ=カタに一番大切なことは何か。 それは眼鏡に愛されることだ。 眼鏡に愛されれば、眼鏡はいくらでも答えてくれる。 眼鏡はいくらでも力を発揮する。 再び力が湧いてくる。海の眼鏡は彼女と相性がいい。 当然だ。リュネットはその為に作られたのだから。 彼女はこの眼鏡に愛されるために生まれたのだから。 まずはヘリを破壊する。ヘリに向かう!加速する! 「ヒャッハー!」 砲撃による妨害!だがそれは回避する! そして逃走しようとする機体の尾部を掴む。そのまま強引に投げる。 投げたヘリがそのまま別のヘリに直撃する。 ヘリが爆発! そのまま2台のヘリが墜落していく。 リュネットは次のヘリを狙う。砲弾が飛んでくる。 回避する。 砲弾が飛んでくる。回避する。砲弾が飛んでくる。回避する。 砲弾が飛んでくる。砲弾が当たる。痛い。きっとまた骨が折れた。 「でも、まだ大丈夫なの」 痛みを我慢する。セシルのためなら我慢できる。 セシルのためならリュネットはなんでもできる。 ヘリを追う。 能力を発動。水の樹が地面から伸びる。ヘリに向かって伸びる! ヘリがリュネットが接近。 ヘリの側面を殴る!殴る!殴る!蹴る! ヘリがバランスを崩す。 再び能力を発動。水の樹が地面から伸びる!今度はバランスを崩したヘリに突き刺さる。 リュネットその場を離脱する! ヘリが爆発四散! ◆◆◆◆◆◆ 「……恐ろしい少女だ」 ヘリを三機も破壊されてしまった。まだ一機残っているが破壊されるのも時間の問題 リュネットがこちらへ向かって来る!ヘリの数を減らし反撃には十分と見たのか。 マスケット銃を構える。マスケットは長距離狙撃に向いた銃ではない。 だから近づいてきたところを狙う。 大砲が一斉砲撃の構えにうつる。大砲がリュネットを狙い。 其の時、突如水の蔦が周囲に現れた。リュネットの能力だ! ラトンや砲撃手たちの体、さらに大砲を絡めとろうとする。 蔦が掴んだ大砲を投げる! 狙いは砲撃手たち! 「アバババババ」 「あべしっ」 砲撃手たちが大砲の下敷きになる。 ラトンがマスケット銃でラトンに向かってくる蔦を撃つ!吹き飛ぶ蔦! そこへ接近するリュネット! ラトンは回避!すれ違い様にリュネットを狙う! リュネットが回避!蔦がラトンを襲う! ラトンがそれを横へ飛び回避。マスケット銃で撃つ!撃つ!撃つ!弾切れ! ラトンがマスケットを捨て、指揮棒を再び取り出す! 向かってくるリュネットにラトンがそれを振りかざす! リュネットがそれを回避し、ラトンを蹴る!さらに蹴る!さらに蹴る! ラトンが吹き飛ぶ!ラトンは背後のカリヨンに叩きつけられていた。 さらに倒れたラトンを蔦が拘束。さらに全身を締め付ける! 「これでとどめなの」 「ぐわあああああああ」 ラトンの全身の骨が砕け散った。 ◆◆◆◆◆◆ 「まだやるの?」 「いや……」 全身の骨が砕かれては戦闘など続けられない。ラトンは戦闘魔人ではないのだ。 「頼みがある」 「何?」 「本当は……君のような子供に……頼むことではないんだが」 ラトンが息たえだえに喋る。 そもそも彼女の保護者が信頼できるのかもわからない。だがほかに術もない 「子供を……預かってくれないか?私の家にいる……私のような狂人では……ほかに頼む人間もいないんでな」 「わかったの。セシルに頼んでみるの」 「すまない」 そういうとラトンが意識を失った。 ◆◆◆◆◆◆ シスターセシルの部屋。迷宮時計のルールに基づきリュネットが帰還。セシルの前に現れる。 「リュネット!?良かった!」 セシルが目の前に現れたリュネットを思わず抱きしめる。 「セシル……?」 セシルの目には涙が見える。心配をかけてしまったのだろうか。 「私疲れたの……少し休ませて」 「うん。ゆっくり休んで」 セシルが右手でリュネットの頭を撫でる。 そのままリュネットは深い眠りについた。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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元スレURL 【SS】世界ガチレズ童話集 概要 ガチレズによるガチレズのための訓話集 参考:イソップ童話、日本昔話他 タグ ^桜内梨子 ^Aqours ^パロディ ^コメディ 名前 コメント
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SSランク|シーモア ルアー ひとろう 響火 響 ソウゲツ
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プレイヤー名 アンドリュー デッキ名 アコサポSS デッキコード[デッキコード] 1061l0P6r6w6B6Q6U6X747D7O7Q7T898v8N9Xbl [ユニット] × 5 No003 アサシン × 1 No028 アーコル × 3 No018 メイドウィッチ × 1 [マジック] × 35 No134 命削りの風 × 1 No135 精神の秘箱 × 3 No137 心削りの石 × 2 No142 抹殺の赤風 × 2 No143 未完のキューブ × 3 No144 封魔石の欠片 × 3 No147 生命の滅亡 × 1 No158 ソーマの烙印 × 3 No162 魔道転送 × 2 No163 生命吸収 × 1 No164 魔力吸収 × 1 No169 契約の石 × 2 No176 魔物の香水 × 3 No182 降魔の蓮華門 × 3 No206 水柱の篭手 × 3 No235 特攻の剣 × 2 解説 CP100帯でAPを高く取れるアーコルを マジック軸のユニットにすれば スタイリッシュに動けるのではないかなっていうコンセプト。 基本的にマジックでサポートをして アサシンやユニットを出して詰める展開になった時に 香水やアーコルを使っていくことを想定する。 デッキの性質上、大型を特攻または未完魔転で基本処理するので 抽出受けが地味に辛いところであるし ユニットでゴリ押しされるのにも弱い。 つまりタイマンで勝てるようなデッキ力はない。 ただ、相方がバリバリの攻めでこちらもサポートに徹するような 盤面が出来ればデッキ性能をうまく活かすことはできるかもしれない。 いくつか改良を重ねているのでデッキ名に「SS」を付けている。 このデッキに関してのコメントは以下のテキストボックスから 名前 コメント アンドリューのデッキリスト プレイヤーリストへ
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四人戦SSその3 ――――合コン。 ――――それは、見知らぬ男女同士による、親睦を深め合う集い。 ◆◆◆◆ シュッ、チッ ボゥ……ジジ……―――― 眩いネオンに彩られた暗闇を眼下に、1点の熱を帯びた光が灯る。 夜のオフィス街。連なる摩天楼群。 高層ビルはひしめき立ち、人工的な明かりを以って自己主張している。 まるでその高さを、派手さを競いあっているかのようだ。 ネオンが放つ作り物の光とは対照的に。 マッチが灯す暖かみのある光。 灯りはゆっくりと煙草に近づいていき、その熱を分けてやる。 「スゥーッ____」 燻られた煙草の煙が、ゆっくりと肺に届けられる。 気管を巡った空気は鼻腔を抜け。 「フゥーッ____」 紫煙と共に、勢い良く体外へ放出される。 「戦いの前の一服は、最高だなぁ」 噴流煙は言葉を漏らすと、続けざまに煙を含んだ。 闇夜。無人の高層ビル群。その一角の屋上。 ここが、噴流煙の”夢の戦い”出現位置。 屋上には噴流煙以外の姿は無く。 周りには高低連なる無数のビルの群れ。 見下ろせば、眼下から照らし出されるネオンの光が沸き立ち。 見上げれば、より高いビルの群れが悠然と聳え立っている。 噴流煙が再び紫煙をくゆらせると、煙は瞬く間に霧散した。 ビル風だろう。うねりを上げた風がビルにその身をぶつけ、乱舞している。 シュッ、チッ ボゥ……ジジ……―――― 2本目の煙草に火を点け、噴流煙は思い返す。 先日見た“無色の夢”。 その最中、まるで煙が脳まで回ってきたかのように、頭の中に入り込んできた情報を。 「戦闘空間」、「対戦相手の名前・能力」、「戦闘のルール」、「戦闘空間での負傷」、「勝者と敗者への賞罰」。 自分同様、これらの情報は他の対戦相手にも知れ渡っている。 そう推理するのは当然の帰結であった。 「賞罰……ねぇ」 口内で反芻した煙ごと、吐き出される言葉。 噴流煙は、褒賞など望んでいない。 専ら現実の暮らし、学園での生活こそが彼の望むものだ。 何だったら、特別な夢を見たいヤツがいるのならば手を貸すのも良いとすら考えている。 ただ――――。 「――――煙草の無い世界に閉じ込められるのだけは堪らんらぁあ」 現実世界から持ち込んだ煙草の本数は500本。 早くも3本目の煙草に火を点ける。 そのまま力無く屋上の手すりに身を預けたのは。 その体勢が最も楽に街下を眺められたからだ。 街下からこちらを覗き込む、ボヤっとにじんだネオンの光。 まるで火の点いた煙草のようだ、と、噴流煙は苦笑した。 口に咥えた煙草の煙がゆらゆらと昇っていく。 バカと煙は何とやら。 煙に導かれるように、噴流煙は歩き始めた。 頂上を。一番高い場所を目指して。 ◆◆◆◆ ピリッ、ペリペリッ ベリベリリリリリ………… ビル風が巻き起こす喧騒を引き裂くかのように、 顔パックの剥がされる音が暗闇に響く。 夢の戦いは、転送時に身に着けていたものが持ち込まれるルール。 であれば。 白鳥沢ガバ子が日課としている、就寝前の顔パックが持ち込まれるのは至極当然の道理。 お肌のケアに何よりも大事なことは、継続すること。 目に見えない日々の努力こそが、白鳥沢ガバ子の真骨頂であった。 バリッ、ボリボリッ ムシャッ……ボリッ……―――― キメ細やかな肌。 その形成に必要な要素とは即ち。 そう、保湿と潤いである。 顔パックは肌の生成・維持に十分な湿度を保つ。 ならば、潤いは何を以って与えるか。 即ち、輪切りにしたきゅうり。 輪切りにしたきゅうりを、顔パックの上から貼り付ける。 90%以上もの水分で構成されるきゅうりの瑞々しさ。 それこそが、肌に潤いを与えるのに最も適している事を、白鳥沢ガバ子は理解している。 「ふむ。戦闘領域のう……」 立入禁止。 目前に立てかけられた看板を尻目に、白鳥沢ガバ子は思案する。 看板から伸びた有刺鉄線は、ゆるいうねりを生じながら、どこまでも伸びており、戦闘領域の外周を覆っていた。 まるで、外部からの侵入を拒むかのように。 まるで、内部からの逃走を阻むかのように。 「……なるほどのう」 ぷるん、と頬は弾み。零れるは笑み。 しっとりとキメの細やかな餅肌は、さながら赤ん坊の如し。 吹き荒れるビル風に頬を撫でられるも、その弾力で押し返す。 米の研ぎ汁。 栄養素の溶け込んだ水を塗布する事により、赤ちゃんの肌は完成する。 「グハハハハ! どれ、そろそろ向かうか。戦場にのう」 乙女の戦場とは是即ち、恋の始まる場所である。 恋の始まる場所とは。 決まっている。最もムードのある場所。 夜景を一望出来る、最も標高の高いビル。 そこでこそ、ロマンティックは始まる。 眩く照らされる、凛と輝くネオンの光。 まるで星屑の海のようだ、と、白鳥沢ガバ子は歓喜した。 「ククっ。ワシ、なんだか……」 「ドキドキしてきたわ」 恋する乙女の戦いが始まる。 ◆◆◆◆ ヤマノコが先ず確認したかったことは。 この空間における人間の存在。 対戦相手以外に果たして人間は存在するのか、という点である。 戦闘領域は「巨大な高層ビルが立ち並ぶ、無人のオフィス街」。 対戦相手以外の人間が存在しないことは、半ば無理やり理解させられた。 だが。それでも、ヤマノコは己が目で確かめたかった。 「……やっぱり、だれもいないね」 たくさんの灯りの下には、皆それぞれの生活があって。 灯り一つ一つに、誰かの願いがある。 おぼろ気だが芯のある光は、まるで、叶えたい願いごとのように思えた。 だから、確かめてみたかった。 自分には叶えたい願いなんてないから。 他の人が願うものを見てみたかったから。 そんな思いも露虚しく。 ヤマノコの行為は既に知りえた情報を確証づけるに過ぎなかった。 「……えっ?」 ヤマノコの小さな手と、ヘヴィ・アイアンの筋張った手。 繋いでいた手を、僅かながらも強く握られ、ヤマノコは思わず声を上げた。 「ヨー・プリティ・リル・ガール」 相も変わらぬ陽気な笑顔で微笑みかけるヘヴィ・アイアン。 ヤマノコの掌が、ヤマノコの心が、暖かいもので包まれる。 「安心しな」「大丈夫だ」 握られた手から伝わってくる言葉。 あの丘で聞いた、軽やかな音色。 あの丘で聞いた、大切なおまじない。 その言葉はヤマノコを強くした。 「……いこう?」 強く握り返し、視線を宙に投げる。 視線が射抜くは、闇を飲み込み、悠然と立ち尽くす鉄と光の世界。 それは、この領域で最も標高の高いビル。 少女と大男。 守られる者と守る者。 ネオンによって映し出された二つの影は、今再び闇夜に溶けていく。 ◆◆◆◆ 私、菱川結希は、ビルの屋上から街下を見下ろしていた。 眼下には無数のネオンが照らし出され。 上空には今にも落ちてきそうな夜空だけがあった。 恐らく、ここがこの戦闘領域で最も高いビルなのであろう。 そこが私の出現位置だったのは幸か不幸か、未だ知る由も無い。 高さにして700、いや、800mはあるだろうか。 少なくとも、文乃と一緒に昇ったスカイツリーよりも高いであろうことは容易に想像できた。 「はぁ~っ……」 思わず漏れ出た溜息を抑えようともせず、私はそこから動けずにいた。 キャンドルライトのように淡く広がったネオンの光は、いつか消える時が来るのだろうか。 くっきりと彩られた光もいつかその輝きを失くし、闇に飲み込まれる。 まるで、私の記憶のようだと悲哀する。 ――――アムネジアエンジン。 記憶と引き換えに瞬間的に身体能力を強化する、私の能力。 ギアを上げるほど、身体能力は向上する。 単純だが弱い能力では無いと考えていた。 だというのに。 「はぁ~っ……」 再び深い溜息が漏れる。 だというのに、私と同系統の身体強化能力者が、他にもあと2人いる。 これでは、必然的にシンプルな真っ向勝負になる、 言い換えれば、削り合いによる長期戦となることは想像に容易い。 その考察が、私の能力制約が、この戦いのルールが。 憂鬱という名で私に重く圧し掛かってきていた。 長期戦になるということは、それだけ能力の使用回数が増えるということだ。 能力の使用回数が増えれば、その分だけ私の記憶はくべられる。 そして、この戦闘のルールでは”肉体の負傷”は全て回復されるが、 消えた記憶は肉体の損傷に含まれるのか、という疑問がある。 私の考えでは、答えはNoだ。 記憶の損傷は、肉体に何らダメージを帯びていないのだから。 私の導いた三段論法が、否が応にも溜息を漏らさせる。 この場に文乃が居れば、「よく気づきましたねー。結希ちゃんは聡明ですねー」だなんて褒めてくれるだろうか。 有り得もしない自分の妄想に辟易する。 「はぁ~っ……えっ……?」 三度目の溜息が漏れると同時、言いようも無い圧力を感じた。 ここは、私達以外は無人の空間。 つまり。 「……敵!」 ガチリ、とスイッチを切り替える。 空気が淀む。 段々と近づいてくる圧力は、体の内側から内臓を弄られているかのようだ。 戦いの始まりを予感した私の胸は、私の意思とは無関係に脈動する。 ガチャッ ここ、屋上へと続く扉が勢い良く開かれる。 そこから飛び出してきた男は、私が予想だにしない言葉を発した。 「た……たすけてくれらぁーーーー!」 「……えっ?」 何かから必死に逃げ惑う男。 恐らく噴流煙であろう、の様子から、私の警鐘は全力で鳴り響いた。 違う! 圧力の正体はこの男ではない! 噴流煙も私と同じ……圧力にあてられ逃げてきたのだ! 「~~~~っ!?」 背骨に氷柱を刺し込まれたかと誤認するような悪寒を感じ、振り向かされた。 そこには。 動物の毛皮に身を包み、丸太のような太ももが印象的な2m近い巨漢の女の子が聳え立っていた。 「グハハハハ!屋上まで誘い出すだなんて……オヌシ、見かけによらずロマンチストじゃあ!のう?」 間違いない。 この女性こそ、白鳥沢ガバ子。 人呼んで――――。 ――――人類の到達点。 ◆◆◆◆ その重量感。 その威圧感。 戦車に砲塔を突きつけられた時も、きっとこのように感じるのだろう。 私は、額から染み出す汗を拭うことすら忘れていた。 のそり、のそり。 獲物を狙う肉食獣のように、ゆっくりと距離を詰めてくる白鳥沢ガバ子の姿を、ただ見ているだけしか出来なかった。 「ん?……ヌシ。菱川結希じゃな?」 「えっ……?あっ、はい」 思わず素っ頓狂な返事を返してしまうと。 白鳥沢ガバ子は、まるで山賊の酒宴を想起させるかのような、大きな笑い声をあげた。 「グッハッハッハ!そうか!ワシはとことん”ユキ”という名に縁がある。のう?」 白鳥沢ガバ子から感じる圧力は相も変わらずだが。 悪い人では無いのかもしれない。 そんな考えが頭をよぎった。 「そっちに居るのが噴流煙じゃな?残るは1人……いや、1組か。ガハハハハ」 どっこいしょ。空耳が聞こえた気がした。 そのまま、白鳥沢ガバ子はその場に腰を下ろす。 どうやら。 どうやら、即座に戦闘を開始するつもりでは無いらしいが。 この人は、本当に戦う気があるのだろうか。 そんな考えすら浮かんでくる。 釣られて私も腰を下ろそうとした、その瞬間。 白鳥沢ガバ子に押し倒された。 「危ないところじゃった。のう?」 先ほど私が居た位置には、黒ずんだヘドロ状の物体が蠢いている。 私は直感した。 これは。 「チッ!」 苦虫を噛み潰した顔で私達を見据えている、噴流煙の魔人能力だ。 キセルから煙を吸い上げ、再び宙を舞うヘドロ。 山賊染みたステップで回避しながら、白鳥沢ガバ子は私に告げてきた。 「むぅん。ならばここはワシが相手をしちゃろう」 「手出し無用じゃ。男女問題は常に1対1じゃあ!」 その申し出は正直、有り難かった。 噴流煙からしても、身体強化系能力者2人を一度に相手取るのは得策では無いだろう。 夢の戦い。 初戦。 噴流煙VS白鳥沢ガバ子。 ◆◆◆◆ 風が強く吹いていた。 うねりながら、地面からせり上がって来るビル風。 風は、気ままにその形を変える。 そして。 噴流煙の吐き出すヘドロもまた、風に煽られ躍動する。 予測不可能。変幻自在。 不規則に乱舞するヘドロが白鳥沢ガバ子を襲う。 「ぬうぅぅんっ!!」 雄叫びと同時に踏み抜かれるタイル。 畳返し、否、タイル返しとでも言うべきか。 直立に跳ね上げられたタイルは、その身を以って白鳥沢ガバ子を守る。 見れば、白鳥沢ガバ子の身体は、先ほどよりも一回り大きくなっているようだ。 息も荒々しく、太ももは牛の2,3頭をまとめて蹴り殺せるとすら思わせられる。 白鳥沢ガバ子の能力。コンカツ。 その特性は、ドキドキを力に変える。 噴流煙にとっての不運は、この場所で戦闘を行ってしまったことであろう。 「吊り橋効果」 恐怖心を恋のドキドキと錯覚させるそれは、この地上700、800mの高所では、否応なく効果を発揮する。 「グハハハハ!」 タイルを踏み抜きながら接敵する白鳥沢ガバ子の拳が、噴流煙を捉える。 噴流煙は、己の武器であるキセルごと腕をへし折られ、柵まで吹き飛ばされた。 噴流煙にとっての不運が、この場所で戦いを挑んでしまったことであるならば。 白鳥沢ガバ子の不運は、噴流煙のキセルを折ってしまったこと。 煙草の吸えなくなった噴流煙は、思いもよらぬ行動を取る。 禁 断 症 状 ゆっくりと近づいていく白鳥沢ガバ子。 噴流煙は、朦朧とした目で体勢を入れ替え、ガバ子を追い込むように柵に手をつく。 私は、この体勢を知っている。 壁ドン。 かつて文乃に冗談半分にやられたそれを思い返すと、 不思議と頬に熱が篭るのを感じた。 壁ドンの威力を、私は身を以って知っている。 これは、本能に訴えかける技だ。 女性であれば例外無く、この技から逃れる術は持たない。 かつて私がやられたそれは、女性同士によるものだ。 にもかかわらず、身体は熱を帯び、思考回路は停止した。 胸がドキドキするとは、あのような状態を言うのだろう。 もしも――――。 ――――もしもこれが、年頃の男女同士であれば。 ――――もしもこれを受けるのが、恋する乙女であれば。 その威力、筆舌に尽くし難い。 多分に漏れず、白鳥沢ガバ子はその動きを停止した。 先ほどまでの、全てを飲み込む濁流は。 油の切れたぜんまいロボのように、鈍音を漏らしながら動きを止めた。 思考回路はショート寸前であろうことは、傍から見ている私の目からも明らかであった。 そして。 あろうことか、噴流煙は。 そのまま――――。 ――――白鳥沢ガバ子の唇を奪った。 「ガバァッ!?」 それが噴流煙の攻撃だと気づいたのは。 白鳥沢ガバ子の口から漏れ出る黒ずくんだヘドロ状の物体が見えたからだ。 これが、噴流煙の奥の手。隠し持った刃。 口内を通じた直接投与。ゼロ距離からの射出。 だらり、と下げられた白鳥沢ガバ子の腕が、不規則に脈動している。 噴流煙は、なおもその唇を離さず、死にも等しい接吻を与え続ける。 白鳥沢ガバ子と言えど、ここから逃れられる技など皆無であろう。 …………技、という言葉を用いたのには理由がある。 もはや、あれは―――― ――――技ではない。 白鳥沢ガバ子の肉体が、赤く、どす黒く変色していく。 白鳥沢ガバ子の能力。コンカツ。 その特性は、ドキドキを力に変える。 そして、その効果は、幾重にも累積される! 吊り橋効果によるドキドキ。 唇を奪われたことによるドキドキ。 毒素による発熱、そして動悸。 積み重ねられたドキドキは、ガバ子の身体を何倍にも膨れ上がらせた。 そして。 「ぬううんっっっっ!!」 噴流煙を抱きしめ、そのまま脊椎を破壊する。 毒素ではなく血を吐いた噴流煙もろとも。 そのまま、2人は街下へと落ちていった。 「ガっ、ガバ子さん!」 私の伸ばした手は、白鳥沢ガバ子の手をするりと抜け。 落ちていく2人を、ただ見つめていることしか出来なかった。 そして。 ビルの壁を駆け上がってくる、もう1組の2人を眺めることしか出来なかった。 ◆◆◆◆ ビルの外壁を駆け上ってきた2人。 ヤマノコと、ヘヴィ・アイアン。 挨拶代わりとでも言わんばかりの蹴撃に、私の身体は容易く吹き飛ばされた。 まるで、2トン トラックに跳ねられたかのような衝撃。 鋭く走った鈍痛が、ゆっくりと悲鳴を上げ始める。 口の中一杯に広がる鉄錆の味を無理やり噛み締めさせられ、這いつくばることしか出来なかった。 「ヨー・プリティ・ガール。ダンスはここからだぜ?」 狙撃銃の如き威力と精密性は、的確に私の急所を打ち据える。 アムネジア・エンジンはすでに使っている。 否、使わされている。 消え行く記憶の中で、先ほど私が感じていた懸念が。 記憶の消去は回復しないのではないかという懸念が消え去ったのは、幸か、それとも不幸か。 アムネジアエンジンのギアを2速、3速と上げていくが、 それでもヘヴィ・アイアンの猛攻を御するには至らない。 「ぐっ……ゲ、フッ……」 猛攻という雨が止んだのは、私の腹部からヘヴィ・アイアンの拳が引き抜かれたからだ。 足が震え、膝を折る。 視界もぼやけ、ヘヴィ・アイアンの声だけがやけにはっきりと聞こえ始めた。 「ヨー・プリティ・リル・ガール。言っただろ?”安心しな””大丈夫だ”ってな」 隅で座っているヤマノコにかけるその言葉は、慈愛に満ちていた。 跪(ひざまず)いたまま、私はその光景を見ていた。 痛い。何でこんなことしてるんだっけ。 痛い。何で戦わなくちゃいけないんだっけ。 痛い。何で。 何で、帰らなくちゃいけないんだっけ。 ____私は、今でも思い出す。 ____1年前 ____全てが終わり、始まった ____あの瞬間を。 そうだ。 そうだったんだ。 あの時も、私は同じように跪いていたんだ。 そんな時。 文乃が差し伸べてくれた手が。 文乃が差し伸べてくれた景色が。 文乃が差し伸べてくれたその日から、白黒(モノクロ)の世界が色づき始めたんだ。 身体は立ち上がれる。 立ち上がる方法は知っている。 でも。 立ち上がれる私にしてくれたのは、文乃だ。 「文……乃……」 だから、私は立ち上がる。 立ち上がれる。 「ありがとう……」 何で帰りたいかだって?決まっている。 私にとって大事なものは、文乃との約束以外ない。 私にとって守りたいものは、文乃との約束以外ない。 私にとってのイチバンは―――― ――――文乃以外に、いるはずもない! 記憶の”重要度”が書き換わる。 アムネジアエンジンは、大事な記憶から順に消えていく。 ならば、私にとって大事な記憶とは、文乃との思い出に他ならない。 差し伸べてくれたその手があったから、私は強くなれた。 差し伸べてくれたその思い出が!私に力をくれた! 「アムネジアエンジン――――」 かつて私に力をくれた言葉を。記憶を。思い出を。 「――――オーバードライブ」 今再び、力に変えて! ◆◆◆◆ パンッ。 乾いた音が、私の後を追いてくる。 それが、空気の壁を破る音、音速を超えた際に生じる衝撃波(ソニックブーム)だとは気づくことが出来なかった。 だって。 私には、その乾いた音は、シャボン玉の割れる音に聞こえたから。 キラキラと煌くシャボン玉が。 キラキラと煌いた思い出が、まるでシャボン玉のように弾けたと思えたから。 「速く……! もっと、疾く……!」 ヘヴィ・アイアンが狙撃銃であるならば、私は散弾と形容するのが相応しい。 狙いなどなく。 ただ、ただひたすらに、一撃でも多く撃つ。 「ハッハーッ!楽しくなってきたぜプリティ・ガール!」 血飛沫が舞い、打撲音が木霊する。 文字通りの血の雨が、最も空に近い場所で降っている。 「ああああああっ!!」 足刀でヘヴィ・アイアンを弾き飛ばし、距離をとる。 僅かばかり、ヘヴィ・アイアンが笑った気がした。 ……恐らく、ヘヴィ・アイアンも気づいている。 否、戦っている私達しか気づけないだろう。 この勝負、不利なのは私の方だ。 ヘヴィ・アイアンと私の能力。 出力は恐らく互角。 ならば、明暗を分けるのは。 素体の強さに委ねられる。 過去、数々の伝説を作った偉大なる人物と、一介の女子大生。 どちらの肉体が優れているかなど、火を見るよりも明らかであろう。 だから。 「…………一撃に賭けるってかい?」 その通りだ。 このままじり貧であるならば、一撃に全てを賭ける。 文乃。 どうか私に。 ――――力を! ◆◆◆◆ ヘヴィ・アイアンは思い出していた。 愚直に向かっていった男のことを。 既に負けると分かって駆ける一人の男の思いを。 死ぬと分かって前へ進むと決めた男に対して、同じ志を持った男の思いを。 愚直に向かってくる菱川結希に、あの時の自分を重ねてしまった。 だから。 その迷いがヘヴィ・アイアンを鈍らせた―――― ――――刹那にも満たない戸惑いによって。 ◆◆◆◆ 「安心しな」「大丈夫だ」 その言葉は、ヤマノコを強くさせた。 そして。 「安心しな」「大丈夫だ」 その言葉は、ヤマノコを弱くさせた。 ヤマノコは気づけなかった。 否、戦っている2人しか気づけないだろう。 どちらが優勢かなど。 だから。 傷つき血を流すヘヴィ・アイアンの姿を見て、仕方無いだなどと思えなかった。 おきることがおきているだけ だなんて、思えるわけが無かった。 だから。 ヤマノコは願ってしまった。 「ヘヴィ・アイアンを…………まもって!」 ◆◆◆◆ 私の拳は、あっけなくヘヴィ・アイアンの眉間を打ち抜いた。 紙飛行機のように吹き飛ぶヘヴィ・アイアン。 だが。 その身体には、傷一つ無く。 その身体からは、先ほどまでの闘気が嘘のように消え去っていた。 「「えっ?」」 ヤマノコと私の声が反響する。 同時に、私は気づいた。 ヤマノコは、願いを使ったのだ。 内容は恐らく、ヘヴィ・アイアンを守るというもの。 でなければ、私の渾身の一撃で無傷だなどと考えられない。 しかし、その願いこそが勝敗を決定づけた。 ヘヴィ・アイアンの能力は、”守るもの”のために強くなるというもの。 ヤマノコが願ったその瞬間。 2人の関係は逆転したのだ。 ”守られる者”であるヤマノコが、”守る者”であるヘヴィ・アイアンを守った。 ヤマノコは、”守られる者”では無くなってしまったのだ。 「あ……あ……」 ヤマノコも気づいたのであろう。 最善と思われる願いが、ヘヴィ・アイアンにとって最悪の結果を招いてしまったことに。 ヘヴィ・アイアンも察したのか。 何も言葉を発しない。 ヤマノコは、今にも泣きそうな顔をしている。 「後は……」 後は、ヤマノコを倒せば私の勝利でこの戦いは終わる。 しかし。 しかし、私にヤマノコを攻撃することなど出来るだろうか。 失敗し、絶望し、泣きそうになっているヤマノコに。 私は、かつての自分を重ねてしまった。 そんなヤマノコを攻撃して手にした勝利で……文乃に胸を張って会うことが出来るだろうか。 「……良いんじゃよ。ヌシはそのままのヌシで良い」 私を現実に引き戻してくれたのは、 「ガバ子……さん!?」 恋する乙女の一言であった。 ◆◆◆◆ 噴流煙を背負ったまま、白鳥沢ガバ子は外壁をよじ登って来た。 「グハハハハ! 地面に落下する直前、そりゃもうドキドキしたわい!」 そう、極限までドキドキした乙女の胸は、落下の衝撃すらにも打ち勝ってみせたのだ。 「ガバ子さん……そのままで良いって……」 先ほど投げかけられた言葉を問いただす。 「そのままの意味じゃよ。ヌシは優しいヌシのままで良い」 でも……それじゃ、いつまでも勝負が…… 「のう。ヌシ、この夢の戦いについて、不思議に思わんか?」 言葉に詰まる私にかまわず、ガバ子は続ける。 「身体強化能力者が3人。そして、紛れを起こせる即死級の能力者が1人。どう考えても出来すぎたマッチングじゃあ」 「まるで……面白い戦いになるように仕掛けられたマッチング。そうは思わんか?」 「そう考えると……今度はおかしな事に気づくのう。面白い戦いになるよう仕掛けたマッチングなのに、場外負けがあるとはどういうことじゃ?面白い戦いなら、最後の1人になるまで闘わせるべきじゃろう」 「なんでじゃあ!?なんでじゃあ!?知りたい知りたーい!のう!?」 「……だから、ワシはこう考えた」 「戦闘可能領域。それは、場外負けのルールのためにあるわけではない」 「そこから先に進んで欲しくない。その領域までしか、この空間を作成出来んかったとな」 「……っ!」 「この空間を作ったのが誰かはわからんが」 「こんな巨大な空間、無尽蔵で作りきれるわけないからのう」 「この摩天楼群は、1km四方までしか作れなかったと考えちょる」 確かに、確かにガバ子の推理は一理ある。 マッチングの不自然さについては、私も思いついてはいた。 「のう。ヌシ。オムライスは好きか?」 「えっ?」 「オムライスは好きか?と聞いておる」 ふるふる、と首を横に振る。 文乃はオムライスを好物としているが、私は卵アレルギーなのだ。 「ククク。やはりヌシとは気が合いそうじゃ」 「ひよこになる前に食べられる卵が可愛そうじゃ。だから、ワシがひよこだったら」 「食べられる前に、殻をぶち破りたいと思うちょる」 「……この空間も壊せる。そういう事ですか?」 「察しが良いのお、ヌシ。GP(ガバ子・ポイント)1点じゃ」 「この空間を破壊できれば――――」 「――――全員、元の世界に戻れる。のう?」 最初は、この人は本当に戦う気があるのか疑った。 この人は、最初から戦う気なんてなかったんだ。 最初から、全員で脱出することを考えていたんだ。 この人には……敵わないなあ。 「どうじゃ?乗るか?」 ゆっくりと首を縦に振る。 話を聞いていたヤマノコ、ヘヴィ・アイアン、噴流煙も後につづく。 「でも……空間を壊すっていっても……壊す前に場外負けになっちゃうんじゃ……」 ふと沸いた疑問に対しても、ガバ子の回答は準備されていた。 「なら、場外負けにならないようにぶち壊せばええ」 そう言うと、ガバ子は上空を指で示した。 「空中には流石に、立ち入り禁止の看板もなかろう。のう?」 やっぱりこの人には敵わない。 そう思った矢先、ガバ子は屈伸運動を始めた。 このまま、空中へ跳び上がり、空間を破壊するつもりだ。 「それじゃ、一仕事してくるかのう」 白鳥沢ガバ子の能力。コンカツ。 その特性は、ドキドキを力に変える。 そして、その効果は、幾重にも累積される。 吊り橋効果によるドキドキ。 唇を奪われたことによるドキドキ。 毒素による発熱、そして動悸。 そして――――。 「グハハハ! しかし、こんなことをするやつは何者なんじゃろうなあ!」 「まるで神じゃ! 出来ることなら、一度拝んでみたいのう」 「ククっ。ワシ、なんだか……」 「ドキドキしてきたわ」 それは果たして恋心か。 神に対する想いを胸に秘め。 膨れ上がった肉体をバネに、ガバ子が宙を駆け上っていく。 夜空に光が灯り、視界が真っ白になる。 いつの間にか、私の足場は消えていて。 落ちていく、落ちていく、苦しみながら、もがきながら、伸ばした手は空を切る。 終わりを告げる時計の音を聞きながら、私は、奈落の底へと落とされた。 ――もがきながら、苦しみながら、私はどんどん落ちていく。 ――それにしてもおかしい、もう随分と長い間落ちている気がする。 ――ああ、息が苦しい。呼吸ができない。これはまるで……鼻を……つままれているような……? 「ふがっ!」 息苦しさで目を覚ますと、視界いっぱいに誰かの手が見えた。 「起きてください、ねぼすけさん」 「あ……文乃……」 「はい、文乃ですよー。よくわかりましたねー。それじゃあ聡明な結希ちゃんはなんで鼻を引っ張られてるかわかるかな~?」 ちらり、と時計を見やる。 試験の時間には……遅れていない。 ちゃんと帰ってこれた。 しかし、となると、鼻を摘まれている理由はさっぱり分からない。 大方、忘れてしまったのだろう。 今はただ、文乃に会えたことが嬉しくて仕方無い。 だから、私は文乃にこう伝えるんだ。 「文乃……ありがとう……」 ◆◆◆◆ 噴流 煙。 ヤマノコ(&神代の旗手 ヘヴィ・アイアン)。 菱川 結希。 そして、白鳥沢 ガバ子。 彼らの、彼女らの夢の戦いはクリアされた。 だが。 今までの戦いは序章にすぎず。 これから始まる戦いの前哨戦に過ぎなかった。 「グハハハハ! 神はまだこのゲームを続けるつもりか」 「ククっ。ワシ、なんだか……」 「ドキドキしてきたわ」 ――――合コン。 ――――それは、見知らぬ男女同士による、絆を深め合う集い。 ~~ダンゲロスSSドリームマッチ 了~~ ――――ダンゲロスSSドリームマッチSet2へ続く